皆さんは「イスラム教」に対して、どういうイメージを持っていますか?
中には、イスラム教 = なんとなく危険そう… という印象を持っている方もいるかもしれません。
日本人にとっては馴染みのない宗教だし、ニュースで耳にするときはいつも「テロ」とセットだし…。
わたしも昔は、イスラム教に対して、あまり良いイメージを持っていませんでした。
1日に何度もお祈りをしたり、断食をしなきゃいけない月があったり、女性の服装に自由がなかったり…、ストイックで厳しい宗教というイメージがありました。
しかし、そんなイスラム教のイメージをくつがえす本に出会ったのです。
それがこれ。
↓
イラン人と日本人とのハーフで、よしもとのお笑い芸人をされているエマミ・シュン・サラミさんが書いた本です。
さすが芸人さんの本だけあって、思わず吹き出してしまうようなエピソードがたくさん出てきます。
今回は本の中で、特に印象に残った部分を紹介します。
目次
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イスラム教は危険なのか?
「目には目を、歯には歯を!」という格言からして、「イスラム教」ってなんとなく激しそう…という印象がありませんか?
でもイスラム教徒の大半は、いたって平和であると著者は言います。
日本人の中には、イスラム教徒=異教徒を敵とみなす怖い人たち、といったイメージを持つ人も多い。
たしかに、イスラムの地はアルカイダなどのテロ組織を生んだ。しかし、彼らはイスラムの中でも特殊で、むしろ普通に生活する中東の市民から嫌われている。
日本でいえばオウム真理教みたいな組織で、日本人だって外国から「日本人=オウム信者」と思われたら全力で「ちょっと、ちょっと~っ!!」って否定するでしょ。
一部の人たちが、イスラム教のイメージを悪くしてしまっただけで、イスラム教徒の大多数は、我々と同じ普通の人々なのです。
そういえば以前、国連の調査で、学校できちんとイスラム教の教えを学んだ人ほど、イスラム過激派(テロリスト)にはならないという結果が出た、という話を聞いたことがあります。
イスラム教の教えを守るため…というより、お金を得るためだったり、社会への不満をぶつけるために、テロ活動をしてる人の方が多いのです。
イランはガチガチのイスラム教国家だが、そこに住む市民は異教徒を差別したり、過激な思想を振り回したりなんて決してしない。むしろみんな、ただ単に親がイスラムだからとか、国全体の雰囲気がそうだからという理由で、「なんとなくイスラム教徒」をやっているだけだ。
強い信念をもって…神様の教えを守って生きる…! というよりは、なんとなくみんなに流されて「イスラム教徒」をやってる…ってい人のほうが多いんですね。
イランは親日国
日本人の中には、「イラン=危険国家」と思っている人や、イランとイラクの違いをよくわかっていない人もいます。(というか、昔のわたしがそうでした)
一方、イランには親日家が多いと著者は言います。
そのことは、イランで放送されている日本のドラマやアニメが、すべて高視聴率、あるいは国民的人気番組になっていることからもよくわかる。イランで『おしん』が放映されたときは、なんと視聴率90%、『キャプテン翼』だって60%だったんだから!
かつてイランの世論調査で、大統領になってほしい人物を尋ねたところ、『おしん』に出演していた泉ピン子さんが上位にランクインしたそうです。すごいな…(笑)
物乞いの天国=イラン
イスラム教徒には5つの義務があります。そのうちの1つが「喜捨」。「富める者は慈悲の心をもって貧しい者に与えよ」という教えです。
この教えのおかげで、イランでは物乞いでも良い生活ができるのです。
物乞いにとって、イランは天国のような国。首都テヘランには月収14万円近く稼いでいる物乞いがざらにいる。これは、イランのサラリーマンの最低賃金の5倍にあたる額だ。
労働者が汗水たらして稼いだナケナシの金で豪遊する物乞い……。まさに、悪夢の下克上である。
イランにいる物乞いは総じて態度がデカイため、施しの額が少ないと文句を言ったり、説教をしてきたりするんだとか。
神さまを言い訳に使う国民
著者曰く、イラン人は元来テキトーな人が多いため、イスラム教の唯一絶対神アラーに責任を転嫁をする人が多いそうです。
バスや電車などの交通機関が時間通りに到着することはあまりない。平気で1時間以上遅れるのだが、そんなとき運転手はそろって「アラーの導きによって遅れてしまったのだ」と、遅刻の言い訳にしていまう。
日本なら「ふざけるなっ!」と罵倒されるところだが、乗客も「アラーがそれでいいなら、しゃあないなぁ」といった感じである。
人に貸していた物を無くされたときも、「アラーの気まぐれで消えてしまった」と言われるそうです。なんでもかんでも、アラーの仕業かい…!
命がけの巡礼
イスラム教徒の義務の1つに「巡礼」があります。巡礼は、イスラム教の聖地に礼拝に行くこと。
巡礼地では、3日間にわたってさまざまな行事が行われます。
最も有名な聖地はメッカのカアバ神殿。巡礼期間になると、300万人以上のイスラム教徒が訪れます。
巡礼期間中は食べ物を一切口にしてはならず、3日間の荒業で体力の限界を超え、毎年2000人以上の負傷者、300人前後の死者が出る。
…過酷過ぎますよね。日本の聖地巡りとはわけが違う…。
巡礼行事の1つに、「黒い石」と呼ばれる建物にキスをしながら、その周りを7周する、というものがあります。
一見楽しそうだが、300万人規模の人間がひとつの建物に殺到するわけで、毎年ドミノ倒しが発生して200人くらいが圧死している。
…なんと危険な! しかし、この巡礼をなし遂げた人は、「天国」に行けるばかりか、一躍ご近所のヒーローとなるそうです。
お店でオマケしてもらえたり、赤ちゃんの名付け親を頼まれたり…と、みんなから一目置かれる存在になるんだとか。