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日本の仏教はなぜ儲かるのか?|お寺の収支報告書(書評)

time 公開日:2015/03/18   

「日本のお坊さんは、お酒も飲むし、お肉も食べるし、結婚もしていいんだよ」と外国人に言うと、いつも驚かれます。

日本では「坊主丸儲け」などと揶揄されることもありますが、本当にお坊さんは儲かるのでしょうか…?

その答えが「お寺の収支報告書」という本に書いてありました。
 ↓

著者は、曹洞宗の寺院で住職をしている方。

日本の仏教はなぜ儲かるのか?
住職の給料はいくらなのか?
なぜダメ住職が生まれるのか?

…など包み隠さずに書いてありました。

お寺の収入源とは?

一般的なお寺の場合、収入の約7~8割は、葬祭関係だそうです。これはお葬式と法事(四十九日、一周忌、お盆…などの供養)の売上です。

また墓地経営もお寺の収入を支えています。墓地の管理料だけでなく、墓石の販売(または仲介)で利益が上がるのです。

『墓石の原価率は驚くほど低く、150万~200万円の墓石でも、問屋価格が30万円ほどです。原価はもっと低いでしょう。』

なお、特定のお寺の檀家でない人がお葬式を上げる場合は、葬祭業者にお坊さんを紹介してもらうことになります。紹介で来るお坊さんは、僧侶の派遣業者に登録している、バイトのお坊さん。著者も副住職時代、このアルバイトをしていたそうです。

ある日、葬儀のバイトに呼ばれた著者は、喪主から80万円のお布施をもらったそうです。しかし、仲介僧侶と葬祭業者が仲介手数料という名目で55万円も中抜きしていきました。結局、80万円だったお布施は、25万円しか手元に残らなかったそうです…。

『仲介者や派遣業者はもちろんのこと、葬祭業者によるお布施の中抜きは、ほぼ常識です。仲介手数料を取らない葬祭業者がおられないわけではないですが、通常は、少ないところで2、3割、多い所では6割を抜いて戻されます。30万円の布施ですと、6~18万円が「中抜き」されます。

ちなみに、仏教の開祖ブッダ(お釈迦さま)はお葬式を禁止していたそうです。

『お釈迦さまは、弟子たちに向って、「私が死んでも、葬式はするな」とおっしゃっていました。そんな時間や費用の余裕があるのなら、自己の修行や他者の救済に用いるようにという教えです。』

お釈迦さまが今の日本の仏教を見たらなんと言うのか、気になるところです…。

住職・副住職の給料はいくら?

『一般のお寺で、あるていどの生活ができるのは、住職だけです。いまの私は給料制で、ありがたいことに、月50万円を受け取っています。手取りは40万円ほどになりますので、地方では少なくありません。しかし、副住職以下は、同年齢のサラリーマンや公務員より、ずっと低い額なのが普通です。』

著者は父親の跡を継ぎ、42歳で住職になりました。それまでは副住職。25歳で副住職になったときは、月給10万円だったそうです。

『副住職時代の給料が抑えられていることで、「住職になったら、思いきり散在するぞ」みたいな、まちがったモチベーションが生まれてくるのかもしれません。』

著者の場合、葬儀のバイトで月70~80万円稼いでいました。そのおかげで、副住職時代の月給も10万円から40万円に上がったそうです。

なぜ「ダメ住職」が生まれるのか?

日本には、高級外車を乗り回し、パチンコ三昧の日々を送る住職もいます。なぜそんな「ダメ住職」が生まれるのでしょうか?

そもそも真剣に修行しているお坊さんが少ないと著者は言います。

『その他大勢の僧侶は、1年ほどの修業期間が終われば、それぞれ実家のお寺に戻って、修行なんてさっぱり忘れてしまいます。父の跡を継いで住職になると、現世の特権者をふるまい、我欲の道を邁進するようになるでしょう。』

なぜ「ダメ住職」でも許されるのか?

それは監視システムが機能していないからです。寺を取りまとめる宗派本部は、末端の寺を気にする暇がありません。そのため、住職のやりたい放題となってしまうのです。

また「ダメ住職」が生まれる原因として、深刻な「跡取り」問題もあげられます。「本当に優秀な人は、住職なんて継ぎたがらない」と著者は言います。

『逆説的になってしまうのですが、あまり優秀な大人に育ってもらうと困るのです。「ほどほどにおバカさん」であるほうがいいのです。

ヘタに知恵をつけてしまって、「オレは、こんな仕事をやるつもりはない」、「マジメに考えれば考えるほど、とてもやっていけそうにない」、「そもそもオヤジだって、ちゃんとやれてないじゃないか」などといわれては、元も子もないからです。』

学校の勉強ができなくても、お寺の仕事をすればいい。周囲からそう言われ、甘やかされて育った子どもは、努力をしなくなります。そうしてお寺の跡を継ぐしか生きて行く道がない人が住職になると、「ダメ坊主」が生まれるのです。

なぜ仏教は儲かるのか?

仏教が儲かる理由として、以下があげられます。

・お葬式で高額なお布施をもらえる
戒名という名の超高収益サービスがある
檀家という名のロイヤルカスタマーがいる
・新規参入がしづらい特権ビジネス
・宗教法人なので非課税
固定資産税がかからない

「非課税」になるのは、基本的に「お布施」など宗教活動に関する収入です。墓石やお土産の販売、幼稚園経営などの「収益事業」は課税対象とされています。しかし、非課税の対象をたくみに広げていこうとする住職もいるそうです。

『お寺の人が近くにいるのに、ロウソクや線香の横に、わざわざ箱をおいて、「ここに線香代をお入れください」と張り紙がしてあるのを見かけます。これなどは、ロウソクや線香を求めた人が、「自発的にお布施を出した」という印象を与えるための工夫です。「これは、商品売買ではありません、お布施です」というわけです。なぜ、お布施であることにこだわるのかといえば、そうすれば非課税になるからです。』

また墓地経営も、特権ビジネスであるため儲かります。

多くの人にとって、お墓は必ず必要になるもの。日本では「埋葬は墓地以外の区域に行ってはならない」という法律があるため、遺骨を自宅の庭に埋めることはできません。

しかし墓地は、行政と特別に認可された非営利法人しか運営できないため、需要があっても新規企業は参入できないのです。

墓地を経営するお寺は、利益率の高い墓石販売だけでなく、「管理費」という名目で、毎年何もしなくても安定した収入を得ることができます。なんと素晴らしいビジネスモデルでしょうか…!

とはいっても、檀家がいなくてつぶれてしまうお寺も増えています。最近は、「葬式なんていらない」と言う人も増え、葬儀の簡略化も進んでいます。今後は、ますますお寺の経営が難しくなっていくかもしれません。

「日本にはお寺が多すぎる」と著者は語ります。

『ほとんどのお寺というものは、一般の人が日々暮らしていくのに、何の必要もないところです。コンビニエンス・ストアがなくなったら不便ですが、近所のお寺がひとつくらいなくなっても、そんなに困りませんね。誰も行かない大きなお寺がなくなって、そこに商業施設ができたら、むしろ地元の人は大喜びでしょう。』

今後は人の集まるお寺だけが残っていくのかもしれません。利益に執着するよりも、仏教本来の教えをみんなに伝えることが、お寺の役割だと思います。人々の心を軽く明るくしてくれるようなお寺こそ、長く続いていくのかもしれませんね。

最後に

この他にも、なぜ「戒名」という収益システムが出来たのか、お坊さんのお葬式にかかる巨額な費用、仏教の歴史、永平寺の修行でやること…など興味深い話がたくさん書かれていました。

また著者のお寺の収支報告も公開されています。「え、ここまで情報公開していいの?」と思ってしまうほどオープン…!

お寺の収益が気になる方、仏教の裏話に興味がある方はぜひご一読下さい^^♪
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コメント

  • 全国のお寺は、普通そんなにリッチじゃないと思いますよ。
    ゆとりがあれば、本堂や境内地の整備にいくらでも使い道はあるだろうにねぇ。
    自分の生活のお金の話ばかりしているお坊さんて嫌ですね。
     
    良質のお寺に淘汰していくのは、檀家や信者の意識次第ですね。
     
    修行や戒律も守る気もないのにお金で良い戒名欲しがったり、
    毎日丁寧に境内の掃除をして軽自動車で回っている坊さんより、大きな車で偉そうにしている坊さんの方を有難がったり、
    葬儀屋さんに丸投げして手軽に事を済ませようとしたりしているうちは、ムリでしょうね。
     
    そういうお寺は、お金で事を済ます信者とお金でそれを引き受けるお寺があって成り立っているわけだから、出資してない私がとやかく言うことじゃないけど…。
     
    アメリカなどではどの教会に通っているかでステイタスになったり毎年教会への寄付を年収の何パーセントと約束したり、ドイツなどの国教のある地域では行政が年収の何パーセントとかを教会税として徴収して教会に配分したりいろいろだから、強制されるよりアジアの自由意志の方がマシかな。
     

    by Crew €2015/03/19 15:06

  • > Crew さん
     
    たしかに、全国的に見たら儲かってないお寺のほうが多そうですね。
    高級車に乗って偉そうにしているお坊さんよりも、慎ましく暮らしているお坊さんに敬意を示したいものです^^
     
    そういえば著者のお寺は檀家制度を廃止したとき、檀家や周囲のお寺から、ものすごい反発を受けた、と書いてありました。お寺は住職だけでなく、檀家の姿勢も大きく影響しているのですね~。
     
    アメリカ、教会によってステイタスがあったりするんですか!
    教会税ってすごいですね。信者だったら、何の文句も言わず税金を払うのかな。
    でも、わたしもアジアの自由意志のほうがいいです…^^

    by りりー €2015/03/19 22:34

  • 日本の(他の)お寺の財政事情を調べようとして迷い込んだ者です。
    少し思うところがあったので一言残させてもらいます。

    この筆者は恵まれてますね。全体の3割はお寺だけで食べて行けずに他の仕事をしてますが、それでも続けようとするのは仏教に「人の役に立つ」ものがあると信じ、実践しているからだと思います。
    志が高く、それでも寺を維持するのが困難な人たちがいる一方、上から目線で「寺が多すぎる」とおっしゃる方が得意げに自分の懐事情を開示しているのは何とも哀しく思います。
    ネガティブキャンペーンの煽りを受けて真っ先にダメージが顕在化するのは、そうやってギリギリでやっている小さなお寺なのですから。

    ちなみに、
    『お釈迦さまは、弟子たちに向って、「私が死んでも、葬式はするな」とおっしゃっていました。そんな時間や費用の余裕があるのなら、自己の修行や他者の救済に用いるようにという教えです。』
    の部分はよく大般涅槃経から引用されますが、『まだ覚っていない弟子に対して』『修行者でない他の者がやるからお前は遺体処理をするな』と説いたのだ、という説があり、その方が説得力があると思っています。実際、仏陀を荼毘に付したのはお弟子さんたちですし。
    ちなみに当時の出家者は仲間の葬儀を営んでいましたが、在家者の葬式には関わってません。
    日本でも古くは貴族や為政者の為の葬儀しかしていません。
    民衆に浸透していく先駆けになったのは、道端に捨て置かれた方の供養を率先して行った僧侶たちであり、想像されるその「気持ち」は(特に僧侶は)忘れてはならないものだと考えています。

    by イチ僧侶 €2016/09/05 23:20

    • >イチ僧侶さん

      ご丁寧なコメントありがとうございます!
      「仏教に『人の役に立つ』ものがあると信じ、実践」する心は本当に大切だと思います。

      わたしはちょっと前まで、日本のお坊さんに対しあまり良い印象を持っていませんでした。それは居酒屋でワイワイ騒いでるお坊さん達を見たことがあるからです。

      「海外のお坊さんは生涯結婚せず、お酒もお肉も控えて、ひたすら修行をしているのに、日本のお坊さんは結婚もするし、お酒も飲むし、お肉だって食べる。お葬式ビジネスで儲けてるだけ」と思っていました。でも、とある番組で、日本のお坊さんの様子を見て、真剣に修行をしているお坊さんもいるんだな、と感じました。

      もちろん、この本に書かれているようにお葬式ビジネスで儲けて、本来の仏教の心を忘れかけているお坊さんも中にはいるだろうし、それとは逆に、毎日真剣に仏教と向き合っているお坊さんもいると思います。

      海外は「喜捨文化」があるから、ただ修行するだけの日々でも生活できるのでしょう。でも日本ではそれが難しいため、お葬式でお金を稼がないとやっていけないのだと思います。

      正直、わたしはお葬式に費用をかけたくない派なので、自分の葬儀にお坊さんを呼びたいとは思いません。でも小さい頃からお坊さんとふれあい、仏教を身近に感てきた人にとっては、お坊さんのいないお葬式なんて考えられないことだと思います。そして今の日本ではまだまだ「お葬式では、お坊さんにお経をあげて欲しい」と思っている人が多いと思います。

      一方でわたしのように檀家でもない、お寺とのつながりが薄い人が増えているのも事実だと思います。ただ、小池 龍之介さんの本がベストセラーになるなど、現代の日本では仏陀の教えが求められていると思います。仏教を身近に感じられるような取り組みが、もっと広がっていくといいですね。個人的には、近所のお寺(僧侶の人柄が良いところ)で、無料またはワンコイン(500円)くらいの「座禅」講座をやってたら、週1ぐらいで参加したいです^^

      by りりー €2016/09/06 12:41

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